TSMCは台湾を代表する世界最大の半導体ファウンドリ

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こんにちは、みみたまボーイです。

今回は台湾を代表する企業の紹介&企業分析をしてみたいと思います。まずは、みみたまボーイが住む新竹を本拠地とするTSMCの企業分析です。一般には知られていないかもしれませんが、半導体のファウンドリとして世界にその名を轟かせています。




TSMCは世界最大の半導体ファウンドリ

TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)は1987年に設立された台湾新竹に本拠地を置く世界最大の半導体ファウンドリです。

ファウンドリって何?という人も多いでしょうが、製造専門ということです。「お客さんの設計に従って半導体を作る」ということに特化しています。TSMCブランドで設計、製造、販売をすることはありません。(設計サポートはする)

半導体業界の盟主intelは自分で設計、製造、販売しており、一般にも名前が浸透していますが、TSMCは自社ブランドで販売しておらず、世間では知らない人が殆どです。しかし、そんなTSMCの時価総額はintelに肉薄するほど。

言われたまま作るだけ、と言うと下請けのような印象ですが、圧倒的な技術力で半導体ファウンドリの世界一まで上り詰めたアジアの暴れん坊TSMCをナメてはいけません

TSMCの製造拠点

半導体を作るにはシリコンウェハ(上の画像)を使用します。サイズが3種あり、12インチ、8インチ、6インチです。最近は12インチが主流です。

TSMCは台湾に12インチの主力工場を3拠点、8インチ工場4拠点、6インチ工場1拠点を有し、中国南京、アメリカにも子会社としての製造拠点があります。また、台湾に更に新たな工場を建設する計画もあり、まだまだ拡大していきそうです。

ニューヨーク証券取引所にも上場している

台湾証券取引所に上場しているだけでなく、TSMCはニューヨーク証券取引所(NYSE)にも上場しています。ティッカーコードは「TSM」。

台湾株を取り扱っている日本の証券会社はほぼ皆無ですが、ニューヨーク証券市場に上場していることで、日本の証券会社でもアメリカ株のカテゴリーで売買が可能です。

半導体ファウンドリランキング

毎年半導体のファウンドリランキングが発表されます。データソースはIC Insights。TSMCは半導体ファウンドリの中で二位に圧倒的な大差をつけて圧勝しています。TSMCだけで全ファウンドリの50%以上の売り上げ。まさにファウンドリ界の巨人、TSMC。

TSMCの株価チャートと配当

TSMCの株価チャート

さすがは半導体ファウンドリのトップと言うべき、きれいな右肩上がりのチャートですね。ファウンドリランキング2位のGlobalFoundriesは上場していないので、比較として3位のUMCのチャートも見てみましょう(UMCも台湾企業)。

↓UMCのチャート。やはりビジネスの世界、結局は「競争」ですから、世界一位、二位くらいじゃないと安定して高い評価を得るのは難しいですね。

TSMCの配当

配当は年一回で約3.5%です。ニューヨーク証券取引所に上場していて年一回というのは、かなり珍しいですね。配当権利落ち日は6月末、支払いは7月。連続増配し続けるかは不明ですが、配当3%超えなので投資対象としても悪くないかなと。

TSMCの基礎データ

  • ティッカー:TSM (NYSE)
  • 本社:台湾
  • 予想PER:18倍
  • 予想ROE:22倍
  • EPS:2.20
  • 配当:約3.5%

PER18倍、ROEも高水準で長期安定、配当もソコソコ良い。いわゆる優良企業というやつです。半導体市場も今後しばらくは拡大し続けていくことが、ほぼ確実ですから、投資候補として考えても良さそうな会社ではあります。

優れたコスト管理と高い設備稼働率がTSMCの利益の高さを後押ししているようです。まあ、優れたコスト管理≒原料メーカーは買い叩かれていて何かと辛いでしょうが、それができるのが圧倒的勝者の強み。オンリーワンにならないと対抗できません。

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半導体業界の展望

しばらくは安定的に成長すると言われています。スマホ需要は一息という感じを見せましたがが、代わりに仮想通貨のマイニングに使われる半導体の需要が高まったり、といったように、何をするにも半導体は使われるため、需要が無くなることはまずありえません。

更に今後、AI、IoT、カーエレクトロニクス(自動運転)分野の発展により、より多くの半導体が使われると言われており、当面は半導体使用量が増え続けるのは間違いがないところです。どんどん便利になる=半導体も進化、売れ続ける構図です。

但し、半導体需要が増えても、どこかで供給過多になり単価下落ということは考えられます。特に中国は国の政策として半導体自給率向上と言っているので、この辺が上手くいったら需給バランスにどう影響してくるのか見ものです。

TSMCの成長エンジン

柱は高性能計算(AIの類)、IoT、カーエレクトロニクス(自動運転)、スマホだとTSMC自身が発表しています。スマホは、これから大きな需要の伸びがあるとは思えませんが、現時点で最大の稼ぎ頭ですし、今後も一定の収益を生み出すでしょう。

AI、IoTと言われても、一般人のみみたまボーイにはピンときませんが、AI、IoT、自動運転といった方向に進んでいく大きな流れは変えようもなく、それを成し遂げるには、今より優れた機械(=半導体)が必要なのも間違いないでしょう。

この辺を成長エンジンと言うのは当然と言えば当然ですね。グーグルとかアマゾンとかも独自の半導体チップを持とうと、設計に参入してきていますからね。

高性能計算(HPC)

ハイパフォーマンスコンピューティング(High Performance Computing=HPC)と言われる分野です。名前が難しすぎて全く親しみが持てませんが、最近よく聞く、AIとか仮想通貨向けがHPCとよばれる分野です。

AI:人工知能

わかるようでわかりませんね。「人工的に作られた人間のような知能」だそうです。まあ、そう言われても漠然としていてわかりませんが、AIは「自分で考え、判断することができる」のが特徴です。

いわゆる、ロボットとはちょっと違います。ロボットは指示されたプログラムに従って動くだけです。AIは「指示された通りに動くのではなく、自ら考え、判断する力が備わっている」。どう考えても、高性能半導体が必要です。

  • ロボット:言われたことだけやる
  • AI:自分で考え、判断できる

簡単なAIの例を挙げると、掃除機のルンバ、Siri、将棋・碁・チェスで世界チャンピオンと戦っているAIとか。これらは、特定の作業(分野)に特化したAIですが、その内に人間と同じように色んな事に対して自分で判断を下せるAIが出てくるかもしれません。

一部では、近い将来人工知能(AI)の思考力が、人間の思考力を超えることが起こるとも言われています。みみたまボーイなんか今でも負けてる気がしますが。人間の手を離れた人工知能が暴走して、人間と戦争になる、いわゆる映画の世界です。

IoT

これも良く聞くものの、わかりにくいですね。Internet of Things。「は?」という感じです。今、日常生活でインターネットに繋がっていない「モノ」をインターネットにつなげてもっと便利に使っていこう!ということです。

身近な例としては、スマートハウスとかでしょうか。エアコンのIoT化。「つけっぱなしで出かけた」、「帰宅時に部屋を涼しくしておきたい」という時に、エアコンの状態をインターネットで把握できるようにして(IoT化)、スマホなどで外出先から操作したり。

こんな感じで、エアコンなどに限りませんが、何でもインターネットに繋げて、色々と便利にしようというのがIoT。多くのモノをインターネットに繋ぐので、いっぱい半導体も使われることになります。

カーエレクトロニクス(自動運転)

実用化されるまで色々と解決しないといけない課題も多いとは思いますが、いずれは自動運転化されるでしょう。自動運転になったら座席とかどういう風になるのかな?と思ったりします。やはり万一に備えて、ハンドルとかは残すんですかね?

いずれにしても、車を自動で制御するわけですから、今より多くの半導体が使用されます。当然、機能も今より高性能である必要があるでしょう。人命にかかわりますから、高品質、高性能な機械(=半導体)が数多く使われるはずです。

そもそも半導体って何?

突き詰めるとキリがないですが、いわゆる電子回路(集積回路)をイメージしてもらえれば良いと思います。パソコンとかスマホに入っている電子回路ですね。この電子回路を作る凄い技術を持っているのがTSMCです。

最先端の電子回路と言われても何が凄いのかわからない人が多いと思います。簡単なところで言うと、パソコンやスマホが同じ大きさなのに、年々動作が早くなったり、データ保存容量(8Gとか16Gとか)が大きくなっているのは、半導体が進化しているからです。

半導体の進化の歴史=微細化

じゃあ、どうやって進化してるの?という話ですが、回路の幅がどんどん細くなっていっています=どんどん小さくなっていっているわけです。では、小さくなるとどんな良いことがあるのか見てみましょう。

  • 機能強化、多機能化
  • 消費電力、発熱量の低下
  • 製造コストの低下

機能強化、多機能化

微細化することで、ひとつひとつの機能(トランジスタ)を持った部分のサイズが小さくなり、同じサイズでも多くの機能を持たせることができます。

消費電力、発熱量の低下

配線が短くなると電流が流れやすくなります。電流が流れやすい=電気抵抗が小さい=少しの電流で動く(消費電力低下)=発熱量も小さい。という感じです。

製造コストの低下

半導体はシリコンウェハという円盤型の薄い基板上に作っていくわけですが、このウェハのサイズは決まっています。最近の主流は12インチウェハ。半導体が小さいほど一枚のウェハから取れる量が増えるので、製造コストも安くなります。

と、いうのが従来言われていたことですが、微細化するには高額な装置を導入する必要があり、また全ての半導体が先端の細さを求めているわけでもないので、これ以上の微細化によりコストメリットがあるのかは、しばしば議論の的になります。

微細化するのに必要な最先端のEUV装置が一台100億円以上です。これを数十台購入しないといけないわけで、凄まじい投資額です。TSMCは業界のリーダーですから、当然EUVを導入しましたが、今、これを導入できるのは世界でも数社でしょう。

TSMCの強み

最先端の微細回路を作れる

やはり最初は微細化でしょうか。現時点での技術力の証明が微細化です。TSMCは製造に特化していますから、最先端のものを作れる!というのが何よりも強みです。上で書いたEUV装置も導入し、業界のリーダーとしての威厳をいかんなく発揮しています。

EUV装置を導入できる資金力のある企業が数社しかいないでしょうから、これだけで差別化要因になりえます。

TSMCは、微細化技術で後れを取るわけにはいきませんので、今後の微細化ロードマップも明確に示されています。他のファウンドリは一世代、二世代前の線幅でも立ち上げに苦労していますので、やはりこの技術力が一番の強み。

設計支援もする

微細化が進みすぎて、設計したとおりに上手く作れないということもあります。最終的には作れるようになったとしても、作れるようになるまでに時間がかかりすぎたりしたら、商機を逃してしまいます。

そんなわけで、設計の段階から製造のしやすさも考慮する必要が出てきました。DFM(Design of Manufacturing)というやつです。設計だけ、製造だけというように、スパッと分けてしまうと、スムーズに作れない時代になってきました。

こうした背景からTSMCは単純な製造請負だけでなく、顧客への包括的なソリューションも提供しています。製造視点から「こうやった方がいいですよ」的なアドバイスをしたり。また、デザインハウス(設計専門会社)の子会社化など、TSMCも設計知識を持っています。

まあ、他のファウンドリも同じようなサービスをしていますが、圧倒的なシェアを見てもらってもわかる通り、ノウハウとかも圧倒的なわけで、この辺も差別化要因でしょう。

TSMCの弱み

特にこれといって思いつきませんが、いつかは衰退していくはずです。それが世の常。リスク要因としては以下。

創業者モリス チャンの引退

2018年に創業者のモリス チャンが引退しました。カリスマの引退と言うことで、今後の企業経営への影響がどうでるのかは不確定要素のひとつでしょう。

とはいえ、かなり前から後継者と一緒になって経営判断をするなど、後継選びに気を配っていたので大丈夫かもしれません。これを乗り越えていくと、本当に偉大な企業として長く繁栄できるかもしれませんね。

中国の半導体自給率向上

何をするにも必要な半導体ですから、他国に頼りっぱなしだと、何かあった時に困ります。そんなわけで、中国は半導体の自給率向上を政策として掲げています

本来、半導体工場を作るには莫大な額の投資が必要で、それ自体が参入障壁なわけですが、中国が国を挙げてサポートするので、中国企業にとって金銭的な部分(投資)での参入障壁が低くなります。

中国のファウンドリは、まだまだ先端の微細化製品を作れませんが、中国企業は好待遇で人材の引き抜きなども行っており、二世代前くらいの細さの回路なら作れるようになるでしょう。いつかは先端も作れるようになるかもしれません。

中国ファウンドリが本格的に立ち上がってきた時、同じ世代を作っているTSMCの工場は高稼働率を維持できるのか。TSMCは、かなり大きな工場を持っていますから、高稼働率を維持できなくなった場合の影響も大きいはずです。

大企業としての驕り

一般的な話ですが、大企業衰退の道として一番ありそうな話でもあります。大きくなりすぎて、変化に対する柔軟性が無くなったり、大きいことと偉大であることを混同してしまったり、多かれ少なかれ大企業にはつきものだと思います。

例えば、微細化、微細化と言ってきてきましたが、2025年ころには微細化の限界を迎えるとも言われています。これまでも、微細化の限界説は何度もあり乗り越えてきたので、どうなるかわかりませんが、ボチボチ物理的な限界に到達しそうです。

かといって、半導体の進化が止まるとは思えません。おそらく微細化とは違う方向の技術で進化するはずです。横にはもう限界なので、今度は積み上げるとか。まあ、どんなブレイクスルーがあるのかわかりませんが、進化自体は続くはず。

こういった大きな変化点で、柔軟にタイムリーに対応できないと、衰退へのターニングポイントになる可能性はありえるでしょう。別にTSMCに限った話では無いですが。

最後にTSMC Museumのご紹介

TSMC創業の地である新竹にTSMC Museumができました。サンタクララのIntel Museumを完全にパクってる。TSMCのことをもっと知りたい!という人は是非いってみてください。予約制ですが、Webで予約できます。

TSMC Museum of Innovationのホームページ

以上、台湾を代表する大企業、TSMCでした。では、また。